小田原屋でザーサイの取り扱いを始めたばかりのころ、中国はまだ人民服を着ていた時代でした。ザーサイの産地に行くまで2日くらいかかっていたくらいで、当時は長江を船でひたすら船へと、また船へという旅をするくらいのものでした。まさに中国の改革開放がはじまる前のできごとです。
小田原屋の中でも特に取り扱いの多いザーサイは、小さなかぶです。日本でいうと昆布高菜のような感じのこぶの部分を指します。収穫時期は2月くらい、6月に新物がでます。たくあんと一緒で、収穫したら寒風に干して、水分を抜いてから塩漬けをします。
香りが強いため、中国では香辛料と一緒に漬けて、辛味や香りでザーサイ特有の臭みやエグミをとっていますが、小田原屋では塩漬けをしています。日本では古くから塩漬けをする習慣がありますが、それは塩漬けをすると毒素が抜けるからだといわれています。中国の本格的な味付けというよりは、漬物屋がつくるザーサイなので、より和食や日本酒などにも合うようなザーサイをつくるようにしています。また、ザーサイは、もともと持ってる植物性の乳酸菌が一番多く、世界一乳酸菌の多い植物として有名です。
日本ではANAやJALに搭乗するとおやつにあられがでてきますが、中国の場合はザーサイがおやつのようにでてきます。中国では古くから国民に親しまれ、原料価格も安くてみなさんの手元にもリーズナブルに届くので、日本であられやおせんべいを食べるような感覚で、中国ではザーサイが食べられているのです。ザーサイはそのままでも食感を楽しめる食材ですが、食べ方としては、きゅうりとザーサイを千切りにしてサラダ感覚で楽しんだり、みじん切りにしてチャーハンに入れてもおいしくお召し上がれます。